梨乃の言葉にいくみの顔が真っ赤かになる。どうやら痛いところを突かれたようだ。 「私のことはいーのっ! これはひよりちゃんの問題なんだからっ!」 その場でどたどたと地団駄を踏みながら、必死に言葉を続ける。 「それにスポーツしたら身体からだも鍛えられるし! 高校を卒業しちゃっても、鍛えた身体はなくならないから。そして私のようにダイナマイト・ボディーを手に入れるんだよ! そうしたら、ひよりちゃんも私みたいに人気者になれるよ!」 「ニトログリセリンが大幅に不足したダイナマイトだな」 梨乃はいくみの胸のあたりに視線を送りながら、そう呟つぶやく。 「なんだかわかんないけど、また馬鹿にしたね! なんとかセリン知らないけど、あるから。いっぱいあるよ。ないのは梨乃!」 今度はいくみが梨乃の胸をびしっと指さす。 「知りもしないのに反論するのではない。それに私は……それなりに……ダイナマイトなのだ」 梨乃は自分で言っておきながら顔を真っ赤にして照れている。ならば言わなければいいのではないかと思うが、いくみに言い負けるのが嫌なのだろう。しかし負けん気の強さはいくみも同等以上だ。 「どこがなのさっ! 梨乃はノーダイナマイトじゃん。私は腰とかそっち方向のダイナマイトだから! このメガネマイト!」 「いくみがダイナマイト・ボディーなど、認めない。私だけでなくノーベルも認めないはずだ!」 非常にくだらないテーマで激しくののしりあう梨乃といくみ。さすがに見かねたのか、ふみが止めに入る。 「梨乃さん。いくみさん。落ち着いてください」 「ふみはダイナマイトだからって偉そうに!」 いくみの手がふみの胸へと伸びる。そして、そのままわし摑みにした。 「ちょっと、なにをするんですか」 「ダイナマイトめっ! ズルいぞ。こんなになんとかセリンを溜め込んでっ!」 憎しみをこめて乱暴にふみの胸を激しく揉みしだく。羨ましいのはわかるが、なんてことをするんだいくみ。これは止めないと……、ただしもうちょっと観賞してからだが。 うん。いいぞ、そう両手でいけ。そうだ。もっと全体的に。ぶるんぶるんとなる感じで……、そうそう……。よしよし。うむうむ。ふーっ。 「……やめるんだぁ。いくみ」 |